FRANCIS BACON

Francis Bacon: self-portrait, 1971
“Self-portrait”, 1971
oil on canvas, Paris, Center Georges Pompidou - © Artists Rights Society (ARS), New York/VG Bild-Kunst, Bonn
晩年のインタビューの中で、アイルランドの画家フランシス・ベーコンはこんなことを打ち明けた。「ぼくは自分の作品が不穏なものだなんて、一度も考えたことはない」。おそらく彼はそう考えてなかった。しかし、事実として、ベーコンの人物造形―自画像も含め―は、ほとんど冷淡なものをもたらしてきた。最大限の解釈では、ベーコンのスタイルはこれまでの絵画の規範すべてを拒否している、美に関するものだけではなく。それはまた、彼の時代に支配的だった抽象表現主義に反対してのことだった。彼はピカソを認めて、「ピカソは形態的な絵画を生んだ第一人者だ。それは外観についてのルールをひっくり返してしまった。彼はお決まりの記号を使わずに、つまり形態の、見た目上の真実に対して敬意を表さずに、そうじゃなくて、不合理なものが持つ生命力を使った外観を示したんだ。見た目をより強く、より直接的なものにするためにね。だからその形は、脳みそを介すことなく、目から腹へと直接届くんだ(…)」〈ゴヤ的な〉何か―〈惨禍〉や〈黒い絵〉といったゴヤの作品から来てる何か―が、ベーコンの自画像にはある、他にも議論を呼ぶ絵画が彼にはたくさんあるのだけれど。たとえば教皇の肖像画とか、友人のジョージ・ダイアーについての形態的な習作であるとか。
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